「好きです。付き合ってください。」

「えっ!?」

突然 話したこともない人から告白された。

しかし、私は彼を知っている。

だって、彼は有名人。
彼はすごくかっこいい。
女子の噂話で絶えたことがない。



私は何か騙されてるのか?



「あ、俺は萩野。俺のこと、わかるかな?」

「えっ、はい!知ってますよ。」

「そうなんだ…」


そう言って、彼はほっとしたように微笑んだ。
やっぱり女子が噂するだけあってかっこいい。


「私は、福田 菜々子 って言います。」

「うん。突然ごめんね。
俺、福田さんのことが好きなんだ。」


彼は頬を赤らめ、顔を少し背けた。
嘘じゃない、真剣さが伝わってくる。



「どうして 私なんですか?
だって、しゃべったこともないのに。」


「覚えて ないよね?
うん、そっかぁ。 覚えてないかぁ…。」



うん?覚えてないってしゃべったことあるの?



彼は両手で顔を覆い、しゃがみこんでいる。


「あの、すみません!
今すぐ思い出します!」

「んーん。無理に思い出そうとしなくていいよ。
あんなの、覚えてなくて当たり前だよ、」

「だめです!
私、何かしましたか?」

「大丈夫だよ。」


彼は黙ってしまう。
本当に話したことあるの?
私は何をしたんだろう…



「その感じだと、告白の返事はNOかな?」

「えっと、その、すみません。
やっぱりまだあなたのこと、よく知らないし…
友達からでもいいですか?」



「ねえ、1つ俺から提案がある。」






「俺とお試しで付き合わない?」





「え…?」

「試しに付き合ってみて俺のことを知ったらいい よ。好きな人とか他にいるの?」

「好きな人は…いませんけど
でもそんなの萩野くんを傷つけちゃうかもしれ
ない。」

「俺は大丈夫だから。
絶対好きになれとは言わない。
福田さんがどうって話だよ。
期間は3ヶ月くらいかなあ。どうかな?」


萩野くんこっちを見ている。


「…じゃあ、お試しで付き合ってみていいかな?」

「ホント!?やったぁ。」


彼はガッツポーズをして喜んでいる。
そんな姿をされると、私も嬉しい。


「んー。やばい、にやける。」

「…3ヶ月間、よろしくお願いします。」




こうして、私の平凡な日々は変わった。
はたしてこれで良かったのだろうか。