「よくもあたしの親友に手を出してくれたな……」
「地獄の門を見せてやるよ」
レアとクリスタの目がギラリと鋭さを増す。
「こんなところで夢を邪魔されてたまるか!行け!!」
ライサンダーが悪霊たちを解き放つ。改造された霊たちに一瞬レアとクリスタは驚いたが、すぐにいつも通りの姿勢になった。
「フン!上等だ、かかって来い!!」
レアが銃を放つ。クリスタも風に乗って霊を斬りつけ始めた。
「私も戦う。真子、お前は泉を頼む!」
小百合がそう言い、霊に術をかけ始めた。真子が走ってくるのを見て、泉は安心し泣き出す。
「泉ちゃん、怪我は?」
真子が泉の猿ぐつわを解き、訊ねる。泉は泣きながら首を横に振った。
「すぐ解く」
真子が泉を縛っているものを外している間にも、三人は攻撃の手を緩めることはない。
レアは銃を撃って相手を怯ませてから殴りかかり、クリスタは斬りつけたり蹴り上げたりを繰り返す。小百合は弓を取り出し、矢を放ち始めた。
泉は完全に自由になり、台から素早く起き上がる
「真子ちゃん、ありがとう」
泉はそう言い、薙刀を取り出して戦闘に参加した。
クリスタの起こした風とレアの炎が混ざり、霊を飲み込んでいく。小百合の放った弓が機械を破壊していく。泉も水で防御したり、攻撃をしたりした。
四人はまるで曲芸師のように、マジシャンのように、鮮やかにそして美しく霊を倒していく。それは誰もが見とれてしまうほどの美しさだった。
一時間もしないうちに、霊たちを除霊した。機械はもう使い物にはならないだろう。
「……ッ!おのれ、覚えていろ!!」
ライサンダーはそう言い、一瞬にして姿を消す。どこか遠くへ逃げたのだろう。犯人は逃してしまったが、今はそれよりも大切なことがある。
くるりと泉はみんなの方を向いた。
「みんな、助けに来てくれてありがとう。心配かけてごめんなさい!」
そう泉が頭を下げると、「ほんとにもう!心臓が止まるかと思ったんだからな!」とレアとクリスタが泣きながら言う。
「……無事でよかった」と小百合が泉を抱きしめた。
「泉ちゃん、お疲れ様」
無表情ではなく、優しく微笑みながら真子が言った。
泉は泣きながら何度も頷き、「ごめんなさい、ありがとう」と繰り返した。
泉たちは、ライサンダーのことを追いつつ他の依頼も解決していくことになった。これからさらに忙しくなる。
しかし、泉はこれでいいと思っている。みんなで調査をする時間ができたのだから。
「ただいま戻りました!」
泉がそう言うと、「おかえり〜!!」と四人の声が揃う。
「今日のお茶菓子は、サンマルクだよ〜」
真子がお菓子を皿に分ける。
「ちょうどお腹空いてたんだ!助かった〜」
レアが笑い、クリスタも頷く。
「ティータイムを楽しんだらライサンダーの調査だ。警戒を忘れないように!」
小百合が紅茶を飲み、泉たちは「はい!」と頷く。
真子も少しずつ輪に入るようになり、泉の負担も軽くなった。今の距離感が一番居心地がいい。
レアとクリスタとは相変わらず仲良しだ。二人は、真子とも少しずつ距離を近づくようにしている。
小百合の訓練は相変わらず厳しいが、いい上司だ。
特殊探偵の仕事は忙しい。それでも、泉はこれからも頑張ろうとサンマルクを頬張った。
初めましての方、初めまして!お久しぶりの方、こんにちは!浅葱美空です!
今回は、友達からのリクエストでこのお話を書きました。予想以上に長くなり、本当に話が終わるのかなと何度か思いました笑。無事に物語が終わってホッとしています笑。
夏休みも終わり、自由な時間も少なくなったので予想以上に時間がかかってしまいました……。学校がただ始まっただけならまだしも、就職試験の関係でドタバタしている状態です。
そのため、しばらくは小説を書くペースが落ちてしまいそうです。あと一週間とちょっとで試験なので、いつもドキドキしています!
今回は、大好きな強い女の子キャラを書けてとても満足しています。探偵とアクションシーンは本当に大好きです!!
作品の中にイタリア語と少し英語が出てきましたが、あっているかどうかはわからないのであてにしないでください。
読んでいただき、ありがとうございました。また次の作品でお会いしましょう!