17時まで、仕事が手につかなかった。
17時になる前にトイレに入って、鏡を見て気合を入れて。
会議室に入った。
適当な席に座ると、すぐに「失礼します」と言って王子が入ってきた。
「おぅ、カッチャンだー」
王子が久しぶりーという空気を出したので。
朝、おはようって挨拶しましたけど…といつもだったら、突っ込むけど。
今はそれどころでない。
王子が目の前の席に座る。
「部長がねー、仕事のことでカッチャンと打ち合わせしろって言ってたけど何なの?」
「あのー…、そのー…、あのー…」
言葉が出てこない。
「あれ、喉乾いてる? 何か買ってくるね」
と、言って王子が出ていく。
心の中で無理、無理、無理と叫ぶ。
足をバタバタさせると、すぐに王子が缶コーヒーを持って戻ってきた。
「はい、これ飲んで」
「すいません…」
でも、缶コーヒーには手を出せなかった。
どうすればいいんだろう。
時間は過ぎていってしまう。
早くしなきゃ帰る時間になってしまう。
「あの、王子!」
自分が思っている以上に大きな声が出た。
「どうした?」
「あのですね…社長が来たんですよ」
「そう」
ぽかんとした顔をする王子に。
もう、言わなきゃと覚悟を決めた。
「すいません、社長から王子が昔、同僚さんに刺されたことを聴いてしまいました」
「……」
「王子の個人情報を知ってしまって、それはフェアじゃないと思い。私の秘密にしていたことを話そうと思います」
「……」
王子を見ると無表情だった。
その表情からは、怒っているのか悲しんでいるかもわからなかった。
フツーだったら、何言ってんだこの女はと言って席を立ったかもしれない。
王子は、ズレている。
黙って私を見ていた。
17時になる前にトイレに入って、鏡を見て気合を入れて。
会議室に入った。
適当な席に座ると、すぐに「失礼します」と言って王子が入ってきた。
「おぅ、カッチャンだー」
王子が久しぶりーという空気を出したので。
朝、おはようって挨拶しましたけど…といつもだったら、突っ込むけど。
今はそれどころでない。
王子が目の前の席に座る。
「部長がねー、仕事のことでカッチャンと打ち合わせしろって言ってたけど何なの?」
「あのー…、そのー…、あのー…」
言葉が出てこない。
「あれ、喉乾いてる? 何か買ってくるね」
と、言って王子が出ていく。
心の中で無理、無理、無理と叫ぶ。
足をバタバタさせると、すぐに王子が缶コーヒーを持って戻ってきた。
「はい、これ飲んで」
「すいません…」
でも、缶コーヒーには手を出せなかった。
どうすればいいんだろう。
時間は過ぎていってしまう。
早くしなきゃ帰る時間になってしまう。
「あの、王子!」
自分が思っている以上に大きな声が出た。
「どうした?」
「あのですね…社長が来たんですよ」
「そう」
ぽかんとした顔をする王子に。
もう、言わなきゃと覚悟を決めた。
「すいません、社長から王子が昔、同僚さんに刺されたことを聴いてしまいました」
「……」
「王子の個人情報を知ってしまって、それはフェアじゃないと思い。私の秘密にしていたことを話そうと思います」
「……」
王子を見ると無表情だった。
その表情からは、怒っているのか悲しんでいるかもわからなかった。
フツーだったら、何言ってんだこの女はと言って席を立ったかもしれない。
王子は、ズレている。
黙って私を見ていた。