「でも可能性はゼロじゃないんでしょ?」
樹の言葉に理恵は再び朝陽に視線を戻した。
「不妊治療を辞めたから、元から排卵障害があったり、卵巣も片方だし、妊娠することがまずは奇跡かな。いまはホルモンの値が落ち着いてるから流産のリスクとかは前より低いけど、まず自然妊娠の可能性はゼロに近い。」
「そう。」
「可能性はゼロに近いけど不可能ではない。そんなかすかな希望はまだ捨てきれてないんだけどね。」
「そっか」
理恵は正直な気持ちを樹に話した。

「理恵、永遠が呼んでる。」
朝陽に呼ばれて理恵も庭へ出た。
朝陽と理恵、永遠の三人でボールで遊び始める。
「理恵パス!」
「きゃ~」
無邪気に笑いながら遊ぶ理恵の表情に朝陽も微笑む。

どんな時間も幸せに満ち溢れていた。