それから私たちは、何度も図書館で会った。
そして、会うたびに私は、史田くんのことが好きになっていった。

「おー、本谷。今日は何借りんの?」
「あ、史田くん。今日は夏目漱石借りようと思ってね。でもここにないから、地下まで探しに行かなきゃ。」
「じゃあ一緒に行っていい?」
「え?うん、いいけど…」

泉丘図書館は、地下にブックピアという古めの本が置いてある場所がある。

私たちは螺旋階段を降りて、地下へ下がった。

少女漫画でありがちな、階段から落ちるなんてヘマはしない。
あくまでも、私はモブだ。
影だ。

私なんかが、史田くんに思いを伝えてはいけない。