「晴れててよかったな」

 隣の裕ちゃんの言葉に、黙って頷く。

 普段は見上げることもしない夜空。

 視界を妨げるものは何もなく、ただそこにある星たちがきらめく。

 一面の星空に見惚れていると、自分が宇宙空間に紛れ込んだような気さえした。

「へっくしょん!」

 急に寒さを感じたと思ったら、くしゃみが一発。

「寒いか。夢中になっていて気づかなかったな」

 裕ちゃんが身軽に立ち上がる。テントに行って戻った彼の手には、大きめのブランケットが。

「ほら」

 裕ちゃんが椅子を寄せ、ひとつのブランケットをふたりの肩にかける。ブランケットは温かく、背中や膝まで覆ってくれた。

 なんだか、一緒の布団に入ったみたい。

 伝わってくる裕ちゃんの体温にドキドキしていると、彼が口を開いた。

「なあ、希樹」

「うん?」

 星を見上げたまま聞き返す。

「……いや。また今度でいい」

 裕ちゃんはそれきり、口をつぐんでしまった。

 何を言いたかったのか気になった私は、彼を追及しようとしたその瞬間。