ギャルたちより一足早く温泉から出ると、ちょうど裕ちゃんと出口付近で会うことができた。

「ねえ裕ちゃん、さっきのギャルたちがいたよ」

「知ってる」

 裕ちゃんは素っ気なく言うと、ずんずんテントがあるエリアに向かって歩いていってしまう。

 もしや、健ちゃんに会ってしまったのか。それで機嫌が悪いのかも。

 ああ、せっかく二人きりのプチ旅行だったのに……。

 裕ちゃんの機嫌をどうとっていいかわからず、途方に暮れる。

 私は無力だ。こんなとき、羅良だったら、彼を上手に、いい気分にできたのかな。

 とぼとぼと歩き、テントに着くと、ウッドデッキの上でシェフが待っていた。

「お料理をお持ちしました」

「わあ!」

 昼間たらふく食べたのに、テーブルの上に並べられた色鮮やかなシェフの料理が、空腹を誘う。

「これはうまそうだ」

 裕ちゃんも、眉間の皺をやわらげた。ありがとう、シェフ。

 シェフの素敵な料理のおかげで、その後の会話は弾んだ。

 またお腹いっぱいになって、テーブルの上が片付くと、辺りはすっかり静かになった。

 暗くなった夜空に、星が浮かぶ。

「キレイ……」

 ウッドデッキの椅子に座って空を仰ぐ。

 少しずつ闇が濃くなっていくと、見える星も増えた。