「なぁ…お前、好きなもんとかあんの?」

「え?」


唐突な俺の質問に、ポカンと口を開く陽毬の顔が面白い。


…だよな。

俺がこんなこと聞くなんて思ってなかっただろうし。


「ど、どうしたの?変なものでも食べた?」


本気で驚いたのか、仕舞いには俺を心配し始める。

おい、陽毬の中の俺は一体どんだけ人に無関心な奴なんだよ。


「食ってねぇわ。普通に、知りたくなっただけ」


「あ…そう、なんだ」



まだ混乱してるのか、陽毬は「え?ええ?」と繰り返している。