「明日の夕飯は鍋にする予定なんだけど、ハルは何鍋がいい?」
んー、鍋か。
なら選択肢はひとつだな。
「キムチ鍋」
「辛いの好きなの?」
「ん」
メニューに辛いのがあると必ず食べる程好きだ。
流石に刺激物を食べ過ぎるのは体に悪いから制御してるけど。
「ハルは辛いのが好き……うん、覚えたっ」
「………」
あー…。
だから、そんな嬉しそうな顔すんな。
調子狂う。
陽毬は自分が知らない俺の新しい一面を知ると、無意識なのか必ず嬉しそうに顔を綻ばせる。
今まで俺のことを知る手段が同居する前まで送られてきていた写真だけだった陽毬は、
こうして目の前に実物の俺がいて、自分の目で見て知ることが出来るのが本当に嬉しいのだと言っていた。