それから午後の授業を終えて、部活の時間になった。


部室で着替えを済ませていると、メッセージアプリの通知が届いた。

開いてみると、メッセージを送ってきた相手は陽毬で「今日の夕飯はポークソテー!」とのこと。


うわ…

絶対美味いやつだろ、それ。

陽毬の料理、マジで美味いしな。


「マジか!お前夕飯ポークソテーなの!?」


「見てんじゃねぇよっ」



いつの間に俺の背後にいたんだよお前。

勝手に人の携帯覗くな、バカ。


「なんだかんだ上手くいってるみたいじゃん。最初は嫌いとか言ってたくせに」


「あー…まぁな」


陽毬と本音で話し合ったあの日。

あの日から、俺の陽毬に対する気持ちは変わっていった。


流石にすぐ陽毬を恋愛の意味で好きになるなんてことは出来ない。

けど、最初に抱いていた「嫌い」という気持ちは今はもうない。


陽毬は見た目がふわふわとしていて、一見か弱そうに見えるけれど、そうじゃない。


俺の本音を、逃げずにしっかりと受け止めてくれる強さを持ってる。

受け止めた上で、俺との距離を考えてくれるんだ。

俺を好きだという陽毬の気持ちはひしひしと伝わってくるけれど、それを俺に一方的に押し付けたりしない。


近すぎず、離れすぎず。


この距離を保って接してくれるから、俺も陽毬との同居生活を上手くやっていけてる。