私は母に言われた事の成り行きを思い出していた。
私の母と美智子さんの出会いは、妊娠6ヶ月の時だったらしい。
たまたま定期検診で産婦人科を訪れた時の事。
『澤北さーん』
病院のスタッフに呼ばれて返事をしたところ、2つ隣に座っていた女性も返事をしたという。
なんたる偶然。
同じ名字の人と会うなんて。
その時の女性が、美智子さんだった。
2人は初対面だったけど、すぐに意気投合したらしい。
それを機に一緒にカフェに行ったり、お買い物に行ったり、マタニティビクスに通ったりして親交を深め、いつしか親友と呼べる仲までになったみたい。
お互いの旦那さん達もすぐに仲良くなり、家族ぐるみの付き合いに発展。
4人で温泉旅行なんかにも度々行ったらしい。
そしてある時、美智子さんが言った。
「ねぇ、香苗さんのお腹の子は女の子よね?」
「そうよ。美智子さんの子は男の子だったわね」
「名前はもう決めてるの?」
「うん。“ひまり”ちゃんにしようと思ってるの」
「わーっ、すごく可愛い名前。うちは“はると”っていう名前にしたのよ」
「晴翔くん?カッコいいじゃない!……あら?って事は、2人のイニシャル一緒ね!!」
「そういえば!!すごーいっ!!」
なんていうちょっとした共通点がまた増えたみたいで。