「……本当は……ちゃんと伝えたいんだ。「もういいよ、ありがとう」って……。でも、恥ずかしくて言えなくて姉ちゃんはますます頑張って、そんな自分に苛立って……」

パーシーは泣くのをぐっと堪えている。ヴァイオレットは口を開く。

「問題行動をしていたのは、お姉様に気持ちを伝えられない自分に苛立っての行動、ということですか?」

パーシーは頷き、「あと、もう一つある」と言った。

「俺が問題児になれば、姉ちゃんは頑張らなくなるかもしれないって思ったからだ」

相談室に沈黙が訪れる。

ヴァイオレットに兄弟はいない。ルートヴィッヒも一人っ子だった。そのため、「兄弟がほしい」と会話をしたことがある。

「愛している」とルートヴィッヒに言われるまで、ヴァイオレットはルートヴィッヒのことを兄のようだと思っていた。

ヴァイオレットは大好きだった母を失い、多くの感情を失った。そんなヴァイオレットを見て、誰もが冷たい目を向けた。しかし、ルートヴィッヒだけはヴァイオレットに手を差し伸べてくれた。