男の赤くなった顔なんて、初めて見たから。





「――――見んなっ!」





拗ねたように言うと、プイッと顔をそらして覆ってしまう。




なんか――――かわいい。





そんな顔を赤くしながら、私を落ち着かせようとしてくれてたの――?




「―――今居さん!大丈夫ですか!」




さっきの心電図でも見たのか、看護師さんの焦ったような声と足音が廊下から聞こえてきた。




「―――ヤベッ、俺もう行くわ」




希くんは慌てて立ち上がると、窓枠に足をかける。




「――――あ、忘れてた」




そう言うと、希くんは私を振り返る。

「昨日、ありがとうな‼」

希くんは満面の笑みでそう言うと、ひょいっと窓から消えてしまった。