「この町も[レッドナックル]のお陰で、夜も安心して過ごせるようになったねえ。バイクの騒音も無くなったし」





――――[レッドナックル]のお陰で、この町は大分落ち着いた。





しかし、それに比例するように彼らの悪い噂も次第に増えていった。

「聞いたかい。[レッドナックル]の総長、血も涙もない非道なんだって。《緋鬼》なんて呼ばれてるらしいよ」

「嫌だ、怖い怖い。《碧鬼》も居るらしいよ」

「よく考えたら[レッドナックル]って物騒な名前よねぇ。[赤い拳]って。あー、恐ろしい」

この前まで散々[レッドナックル]を誉めていた看護師さんたちが、悪い噂が流れたとたん、ここぞとばかりに手のひらを返し、悪口を言い合う。