「んー!おいしー!」
「よかったな」
近くにあるベンチに座って、休憩がてらもぐもぐタイム。
「遥翔も食べる?」
「俺、甘いの苦手」
「ふーん」
てか遥翔さっきからテンション低くない?
楽しいのは私だけ?
しょんぼりしながら残りの一口を食べようと大きな口を開けた瞬間。
遥翔の手が私の腕を掴んだ。
びっくりして遥翔に目線が移る。
遥翔は私の腕ごと自分の口元に引き寄せた。
そして私の手からどら焼きジェラートを食べた。
「やっぱ、あめー」
ちょっと…。
びっくりしたんだけど…!
遥翔のこういう何気ないことでも、私はいちいちドキドキしちゃうわけで。
「ん?顔に何かついてる?」
「うんん」
自覚がない遥翔にちょっとだけ腹が立つ。
「あれ、みんなどこ行った?」
「ん?」
さっきまで一緒に行動していた班のみんながいなくなってる。
「美鈴がとろとろ食べてるから置いてかれたじゃん」
「私のせい!?」
先に行ってしまったんだと思って急いで立ち上がると、遥翔に腕を掴まれた。
「まあ、別に急がなくてもよくね?探すのダルいし」
「え、まだそんな遠く行ってないと思うし、今だったらすぐ見つかるよ」
そう言うと、すごくイヤそうな顔をした遥翔。
だって、知らない場所で迷子とか絶対イヤだもん。