「真莉ちゃん、目瞑って!」


「…目を?なんで…?」


「はい、瞑って瞑って!」



廊下に出た途端、毛布か何かで目元を隠され、目を瞑ることになった私。


「行くよー、走るからね」



実莉に手を引かれ、走り始めた。


その時、ぐちゃっ、ぐちゃっという何か固いものを踏んでしまった。




そして、ポキッという鈍い音。




途端に、異臭が鼻をつく。



「っ……」



「…真莉ちゃん、角まがるよ。はい、目隠し取るね」



視界が開け、目の前を見ると長く続く廊下があった。


再び走り始め、背後からはたくさんの悲鳴や拳銃の音が聞こえる。



実莉のことだから、私のことを思って廊下に転がる死体を見ないよう、目隠しをしてくれたんだろう。





死んでしまった双子の皆。




ここから出られるという希望は、向けられた拳銃で全て失った。




ごめんなさい…。




ここから出られたら、皆の分もちゃんと生きるから……。





だから…、どうか許してください。





お願いします……。





風で浮かんだ涙から目を逸らすと、前を向いて走り続けた。