午前5時21分。
起床放送が流れる一時間前。
私と実莉、そして彼方くんと海斗くんで裏庭へ向かった。
衣服を隠した後、それぞれ出口付近で待機する。
「いいか?静かにな」
「うん……」
「真莉ちゃん、絶対にここから生きて出ようね」
「実莉……。…うん、絶対に生きて出よう」
「よし、行くぞ」
静かに歩みを進め、まだ起動していない監視カメラ付近を横切りながら進んでいく。
その時。
「おーい、誰だ?そこにいるのは。起床時間まであと一時間だぞ」
施設の人だ……。
「誰かいるのかー?……監視カメラを起動してくる。お前は探しておけ」
「わかった」
監視カメラを起動させられる……、相当視野が狭くなってしまう。
そろそろと壁に張り付き、施設の人に見つからないよう、向こうの食堂側へと出た。
「きゃあああぁっ!!」
「っ!?」
「くそっ!早く行け!!」
誰かの叫び声が聞こえ、海斗くんに背中を押された。
実莉と手を繋ぐと、逃げるように走り出した。
「いたぞ!捕まえろ!!」
いくつかの足音が背後から聞こえ、私は海斗くんを振り返る。
「海斗くん!!そこにいちゃだめ!」
「いいから先に行ってろ!!」
実莉に手を引かれ、目の前にあった部屋へと逃げ込んだ。
何人かの男女がいて、皆が息を切らしてる。
「一体、なにが起きたの…?女の子の叫び声が聞こえて…」
「特別センサーだよ」
隣にいた男の子が立ち上がると、壁に手をついて私を見た。
「一人の女の子が特別センサーに引っ掛かって、その瞬間に電流を浴びたんだ」
「電…流……」
「初っぱなからこんなんで、本当に脱出出来んのかよ」
男の子はため息をつくと、窓から廊下の様子を伺った。
「真莉ちゃん、行こう…。確か、この近くに治療室があったはずだから、きっと誰かそこにいる」
「でも、皆が……」
「俺達は死ぬ覚悟でここにいる。行きたいのなら、生きているうちに行け」
男の子の一言に恐怖するも、頷いた。