「ところで、実莉はどこに行ったんだ?」



「食堂に行って、ご飯を取りに行ってくれてるの。私は…変にここから出られないから」



「そっか…、なんだか嫌じゃない?閉じ込められているみたいで」


「うーん、でも……意外とそんなに嫌じゃないんだよね。人気が少なくなったら個人部屋の外に出られるし、実莉も一緒にいてくれるから」



「…そっか」



音子ちゃんは安心したような表情を浮かべた。



「でも、まだ幸運だったよな。トイレとかシャワールームはそれぞれの個人部屋に備わってるし、飯とかそこらへんは別だけど」



「うんっ。那奈ちゃんはご飯がまずいって言ってたけど、食べられるようになった?」


「まずいのは変わらないけど、慣れてはきたよ。あれ以上にまずい飯食わされたことあるし」



「へぇ…そうなんだ」




ガラッ




「ただいま~!ご飯持ってき……あっ!那奈ちゃんと音子ちゃんいらっしゃい~」



実莉が両手にお盆を持って入ってきた。


両手が塞がってるから、いつもドアを足で開けるらしいんだけど…ちょっと止めてほしいかな。



すると、後ろに海斗くんと彼方くんがいた。



「なんだかんだ久しぶりかもな、会うの」



「相変わらず綺麗な部屋だね」



海斗くんと彼方くんが部屋に入り、私がご飯を食べ終えた後、早速話をすることになった。




「あのさ、俺から重要な話があるんだ。全員に聞いてほしい。」



急に海斗くんが手をあげて、そう言った。



私が話をしようと口を開きかけた時だったから、少し驚くも…小さく頷く。



なんだろう…?嫌な予感しかしない。




「なんだ、珍しい。脱出計画のことでなにかあるのか?」



「まあ、それもあるけど…、すごく大切なことだ」



「い、一体なに…?」




海斗くんは深呼吸をすると、ズボンのポケットから一枚の紙を取り出した。



それをテーブルに開き、表情を一変させて暗くすると、こう呟いた。



「もう…、あまり時間がないかもしれない」