「No.56の子ね。ここに座って」






「っ……はい」






女性研究員の人に手招きされて、私は恐る恐る近づく。






研究室は、施設の人が3人と、女性研究員の人が二人いて合計5人いた。





複数の大きな機械があって、2つには人が寝ていた。





「名前は長田真莉。No.56だな。ここに頭を乗せて目を瞑っていろ」






男口調のもう一人の女性研究員は、紙にすらすらと文字を書きながら呟いた。








固い枕に頭を乗せて仰向けに寝ると、機械音が鳴って、私が寝ている台が動き出した。







「どちらの能力が身に付いているか判定するから、ちょっと待っててね~」






ピッピッという電子音が鳴って、私はぎゅっと目を瞑った。







少しすると、瞼が明るくなって恐る恐る目を開ける。






「No.56。視覚完全記憶能力の判定完了…っと」






「はい、もう終わったよ。就寝時間過ぎてるから、個人の部屋に戻って早く寝てね」






「はい…」





ギイィ……と扉を閉めて、ひんやりとした空気の漂う静まり返った廊下に出た。






「おい、あんた」






「えっ…あ!」






近くの壁に寄りかかって、睨み付けるように私を見ている女の子と、にこにこと笑って小さく手を振る女の子。





二人とも、顔が瓜二つだった。







「どうも~、こんばんは。妹さんの熱大丈夫だった?」







車の中で、私の隣に座り、おしぼりをくれたあの女の子だった。





「まだ、熱は下がってないと思う…けど、ありがとうっ」






「あんま大声出すんじゃねぇよ。研究員とか施設のやつらに気づかれたらお前の責任だからな」






「あ、ご…ごめんなさい」






「もー、那奈ったら!もっと優しく言ってあげてよ」





「音子が教えてあげれば?私は知らない」





「もう……。ごめんね、この子は那奈。私は音子っていうの。真莉ちゃんだよね?」






「う、うん」




「一緒に部屋戻ろ?隣同士だから近いよ」






私はその言葉に、小さく頷いた。