同時に携帯の着信音が響き、慌ててリュックから探し出し一息つく。
唯一、気が合ったのはこいつだけだったと思うと、文字を打つ指の速度が遅くなった。
学校での噂を聞きつけてきたのだろう、メッセージが何件か続けて入っていたので
内容は見ずに【落ち着いたら連絡する】とだけ送った。
電源を切った携帯はまだ温かく、握ったままゆっくり目を閉じると静かに夢の世界へと誘った。
快速の電車はあっという間に目的地へ着き、新鮮な空気を肌で感じる。
ガラス窓越しに下を見下ろすと、視界に黄色の車が目に留まり急いでエスカレーターを降りた。
「珠代ちゃん!」
祖母は暫く会わない内に足を痛めていたようで、代わりに祖母の近隣に住んでいる顔見知りの
友助おじさんが運転席にいた。
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