「なんだぁ、つまんない。」

陽菜が言う。

「そうよ、直希のお嫁さんは陽菜ちゃんだもの、ね?」

母親の言葉に

「はぁ!?何でそうなるの?お断りだ!陽菜なんか。うるせぇし、ずうずうしいし、可愛いのは名前だけだし、挙げだしたらきりがねぇ。」

「直、言い過ぎ。」

和希はそう言うとリビングを出る。


「あ…」

直希は我に返ったかのように反省の表情を見せる。

「陽菜ちゃんに謝りなさい。いくら親しくても言い過ぎよ、女の子に。」

母親の言葉に直希が謝ろうとした時、

「いいんです、帰ります。おじゃましました。」

陽菜はリビングを出て、玄関に向かう。

途中和希がいて、声をかける。

「珍しくヘコんでるなぁ。いつもの事だろ?気にするなよ。」

「わかってる…でも、」

「でも?」


「腹立つ!!」

そう言うと陽菜は再び足早に玄関に向かった。


「…何か…違う?
かなり効いたみたいだな。」

和希が呟く。