「それは…」


そう言った後、慎吾に視線を一瞬移し、陽菜に戻ってきた遥華の表情は少し切ない笑顔だった。


“一緒にいる理由”

遥華にとって、それは

“一緒にいたい理由”

ずっと言葉にできていない想いを、初対面の陽菜だから言わないのではなく、今更口にできないのだ。

この先もずっと、


言葉にならないままの

想いなのかもしれない。


行き場のない想いを、


“このまま”
の安心感でつなぎ止めて、


“このまま”
を守るために、


“希望”や“可能性”

“新しい一歩”は





もう忘れてしまったのかもしれない。