「本当は出来るの、包帯も…荷物持ちだって。器用なのよ?力持ちだし!」

遥華が慎吾に聞こえないくらい小声で話す。

その表情は少し悲しそうで。

陽菜はその空気に耐えられず、自分から口を開いた。

「私にも幼なじみがいます。慎吾さんみたいに優しくないですけど、仲良しです…たぶん…」

「たぶん?」

「最近なんだか不機嫌で、こっちが我慢しなきゃ喧嘩ばっかり。いや、喧嘩は昔からするんですけど…なんですかね…もういいですね、この話。」

自ら切り出した話を自ら終わらせた陽菜は、気まずくなった。

「私の場合、喧嘩といっても私が一人で怒ってる感じ?優しいにもほどがあるだろって!」

遥華が言う。



「どうして…ずっと一緒にいるんですか?」

急に陽菜がたずねる。