「…ん?」

陽菜は考える。

「コンプレックスとか…」

竜之介が言う。

「コンプレックス?」

「直希君に言われたっていう“可愛いのは名前だけ”ってやつ?たしか昔陽菜ちゃん言ってた。“もっと地味な名前が良かった”って。」

「うん。」

「確かに地味だもんね、陽菜ちゃん。」

「うん…」

「ごめん…いや、言い返さないよね、これに関してはいつも。」

「まぁ、当たってるし。背が高いわけでもなく低いわけでもない。細いわけでもなく太いわけ…太いか?」

「普通?」

「美人でもなく、可愛いくもなく、女の子らしわけでもなく…」

「好きになっても好かれない、だから好きにならない?」

「…かも。そっか…」

やっと自分がわかり始めた陽菜。