「それは恋でも愛でもない。ただの幼なじみ、いや、親友?」

竜之介が言う。

「親友?」

「陽菜ちゃんと直希君、喧嘩して口もきかないのにいつも一緒にいたよね。いつも一緒にいすぎて、お互いの隣が指定席みたいな。」

「はぁ…」

「直希君に彼女が出来たら嬉しいけど、指定席がなくなるのはさみしい。」

「うぅ…」

「それを考えた時、普通恋に関する感情が生まれそうなものなのに陽菜ちゃんは…」

「私は?」

「恋すら何か知らなかった…」

「失礼な…」

「友情を恋愛感情と勘違いしたあげく元々なかった恋を失ったなんだって…」

「それは…あぁ…う゛…すみませんでした…」

陽菜はまたうなだれた。