「ただいま。」


リビングのドアを開けて、そこにいた母親の顔も見ずに声だけかける。

そのままソファーに向かう息子に母親は笑顔で返事をする。

「おかえり、直希。」

そう、彼の名前は直希。
風間 直希。

「ちょっと待ちなさいよ!!」

彼の後を追うようにリビングに入ってきた、

「いらっしゃい、陽菜ちゃん。」

「おじゃまします、おばさん。」

彼女の名前は陽菜。

及川 陽菜。

「うるせぇよ、静かにしろよ。」

制服の上着を脱ぎながらソファーに座る直希。

「うるさっ…て、あなた何かお忘れではございませんか?」

陽菜が怒りに震えながら、そう言うと、

「何でごさいましたっけ?」

と嫌みったらしく返す直希。

に陽菜がキレた。

「直希がノート見せてくれるって言うから、友達の親切断ったんだよ!?忘れてんじゃないわよ(怒)」

の後に直希の足に一発入る。