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「篠宮ってフルート上手だよね。」

先に口を開いたのは、奏だった。

「ほんと?ありがとう!私ね、中学生の頃から……」

奏は笑っていたが、心なしか悲しんでいるようにも見えた。

「奏くん?大丈夫?」

「…えっ、だ、大丈夫!」

少し焦っているような気がした。
だが、あまり、深く触れるのはよくないと思い、口を閉ざした。