パーフェクトラブ〜激愛されて困ってます〜

キッチンに向かい冷蔵庫を開けると、昨日買った食材を見て、抱き合っていた2人を思い出してしまった。

やっぱり彼女なのかな?雷斗がそんなことするわけないし......

今はとにかく朝ごはんを作ろう。

サラダ、ハムエッグ、スープ。最後にパンを焼いたら出来上がり。昨日はお酒を飲んだだろうからスープだけでも飲んでくれたら嬉しいなぁ。


「おはよう、美結雨」

寝室から雷斗が出てきた。

「おっ、おはよう。朝ごはん作ったけど食べる?」

私は少しボーッとしていたので驚いてしまった。決して動揺していたわけではない。

「......うん、食べる」

「準備するから、顔洗ってきて」

「わかった」

雷斗は、いつも朝が苦手なので子供みたいになる。それが可愛いのだ。でも今日はいつもと違う。起きていたのかな?


えっ?

ということは私の独り言聞いていたのかな?少し不安になる。


「美結雨......」

「あっ、顔洗ってきた?準備できたよ。食べよう」

私、ちゃんと笑えてる?雷斗も何か言いたいみたいだけど、別れ話をされるのが怖くて気付かないふりをした。


テーブルに向かい合って座った。

「いただきます」

私は手を合わせて明るく言った。

「......いただきます」

雷斗も手を合わせて食べ始めた。


朝食も食べ終わり、後片付けも終わった。
ソファーでくつろいでいた雷斗の隣に座った。やっぱりこのままではいけない気がした。後々後悔するなら今ハッキリした方がいい。

私は深呼吸して雷斗を見た。

「雷斗......」

名前を呼んだが正直ちょっと怖い。でも思っている気持ちは伝えないとお互いが辛くなるから。前までは、辛いことは気にせずポジティブに過ごそう。そう思っていたし、そうやって生きてきた。でもそれは自分だけだからよかった。ついさっきまでそう思ってた。

でも雷斗がいつもと違う。
明らかに何か言いたいことがあるのだ。でもきっと言いづらいことなんだ。お互いこのままじゃいけない。なら私から言ってあげないと。

「雷斗?」

「......」

どうしたのかな?下を向いたままボーッとしてる。私は様子を伺うように雷斗の顔を覗き込んだ。

「きゃっ......」

雷斗が急に抱きしめるので変な声が出てしまった。

「美結雨......ごめん」

やだ。何で謝るの?やっぱり別れるってこと?やだよ~。分かっていたことだけど、やっぱり離れたくない。この温もりを知ってしまった。大好きなの。

「雷斗......」

もう私が雷斗と名前を呼ぶことも出来なくなってしまうのかな?

あ~っ、だめだ。ネガティブな方向にどんどん考えていまう。

雷斗は何も言わずに私を抱きしめるだけだった。

「愛してる」

「えっ?」

「俺はどんなことがあっても美結雨を愛してるし、絶対離さない。だからずっと俺のそばにいて」

「......本当に?」

どの雷斗が本当なの?じゃぁ、あの女性は?あの人が本命じゃないの?胸の奥が苦しくなる。雷斗のこと好き過ぎて、辛くなる。私のためについている嘘ならやめて欲しい。雷斗が辛くなるのだけは耐えられない。

「雷斗......これ以上嘘をつかなくていいよ」

雷斗は私の顔を見つめた。

「......それどういうこと?」

イライラしているのはわかった。でもここはハッキリ言わないと。お互い辛くなるから。

「私は、雷斗が幸せならそれでいい。例え一緒に居られなくても......」

私らしく笑っていたいのに、やっぱり泣きそうになる。それだけ私の中で雷斗の存在が大きくなっていた。私は雷斗から視線を逸らした。

「美結雨、何言ってるの?」

私の肩をしっかりと抱き、力が少し強くなるのがわかった。

「本当のことを言って?」

「美結雨、いい加減にしろよ。俺はいつも本当のことを言ってる。俺はいつも美結雨だけだよ」

雷斗の真剣な気持ちは、私にも伝わる。
なら何で不安にさせるの?

「嘘......」

私がここまで冷静で冷たい言い方をしたのは初めてかもしれない。

「美結雨?」

「女性と抱き合っている雷斗をマンションの前で見たよ。昨日は、接待だって聞いていたから、私に嘘をついてまで会いたかったんでしょ?」

あ~、今にも泣きそうだ。私の方が年上なのに情けない。全然余裕ない。

「やっぱり昨日、家に来たんだね」

「ごめんなさい。行くべきじゃなかった」

私は俯き、自分の手を握りしめた。

「美結雨、聞いてくれる?」

雷斗は私の手を握った。その手があまりにも温かくて、涙が出てしまった。私は言葉にならずただ頷くだけだった。

「昨日、美結雨が見た女性は、杉本菜々恵っていって大学時代の仲間なんだ」

やっぱり付き合っていたのか?確か、付き合う前に映画館で雷斗のスマホを見つけた時に着信通知に菜々恵って表示されてた。ずっと連絡を取り合っているってことだよね?

はぁ~っ。

私に勝ち目はないんだ。わかっていたことだけに余計辛い。でも雷斗の話はちゃんと聞かなきゃ。全部受け止めないと前に進めない。

「話を続けて......」

「大学時代に告白されて、でも俺は恋愛感情はないから断ったんだ。その後は会社を立ち上げて毎日が忙しくて、恋愛をする暇もなかった。スマホはずっと変えてなかったし、気にもしていなかった。前に美結雨に忘れてたスマホを受け取ったとき、着信が表示されてびっくりした」

「......うん。あの時、菜々恵って表示見ちゃった。やっぱり彼女がいるんだって思った」

「ごめん。俺、けっこう面倒くさがりでスマホの整理全然しないから登録もそのままなんだ」

気まずそうに私の様子を伺う。

「......私もそういうところあるから」

そういうのが精一杯だった。これ以上嫉妬したくなかった。

「昨日、接待だったのは本当だ。取引先の会社の秘書として現れたのが、杉本さんだった。俺は、美結雨に会いたくて早く話を進めた。その甲斐あって予定より早く終わりにすることができた。帰宅して、美結雨にメッセージを送ろうと思ったが着信が入った。それが杉本さんだった。大事な資料を渡したいと言われマンションの近くまで来ていると言われた。きっと俺の後を付けていたんだと思う」

「えっ?大丈夫なの?」

私は少し怖くなってしまった。モテる男はそうやってあとを付けられたりするのだ。確かにお兄ちゃんもよく知らない女に家の近くで待ち伏せされたとか言っていた。私はそういう経験がないからわからないけど。

「大事な資料がある、から会わないわけにも行かず、会うことにしたんだ。それにハッキリと言わないとわからないと思ったんだ。そうしたら家の近くどころかマンションの前まで来ていて、迷惑だった」

「迷惑だったのに何で抱き合っていたの?」

「いきなり駆け寄ってきて抱きつかれた。だからどうすることも出来なかった。その後、告白されたが断った。俺は今結婚を考えている人がいるって伝えた。これからは俺に関わるなとも言っておいたし、これからは会うこともないから」

「でも取引先でしょ?」

「大丈夫。俺が行かなくても有望な副社長がいるからね」

私を安心させるように優しく笑った。








「雷斗......私どうしたらいい?」

「美結雨?」

「私、雷斗のこと好きでいていいのかな?」

雷斗の目を見ていうことができず俯いていた。

「美結雨......」

雷斗の両手で顔を挟まれ、お互いのおでこが触れた。

「......雷斗」

恥ずかし過ぎて、顔が赤くなるのがわかった。

「俺は、美結雨を愛してる。もう離れたくないくらい。いつも近くで美結雨を感じていたい。美結雨は俺が信じられない?」

「私は、雷斗の迷惑になりたくない。これから先、雷斗は会社の代表として色んな場所に出る。その時、隣に歩く女性が私じゃ申し訳なくて......んんっ......あっ、」

雷斗はいきなり私にキスをした。強引で、なのに優しいキス。

いきなりのことでドキッとして心臓がうるさい。雷斗とのキスは気持ちよくて、もっと欲しくなる。

「美結雨は、俺がどんなに好きなのか分かってないから教えこまないとなっ。迷惑?そんなこと1度も思ったことないし、美結雨なら歓迎だ」

私がボーッと雷斗を見つめて話を聞いていると、またキスされた。舌を絡め、深いキス。経験があまりない私は雷斗にされるまま。でもその気持ちに応えたくて雷斗を引き寄せた。もっと、とおねだりしているみたいで恥ずかしいが雷斗が欲しくて堪らなかった。

「雷斗っ、あっ......愛してる」

キスとキスの合間に雷斗への気持ちを必死に伝えた。

どんどんキスが深くなる。

「美結雨、結婚しよう」

「......本当に?」

「美結雨、俺も怒るよ」

真剣な雷斗は怖い。本当に怒っているのがわかる。

「......私、雷斗よりかなり年上だし、釣り合う自信ない」

「年の差は関係ない。お互い好きな気持ちが大事じゃないの?美結雨は年下だから俺とは結婚できないの?俺に対しての気持ちってその程度のものなの?」

「そんなわけないでしょ?私は雷斗が好き過ぎて、自分でもどうしていいのか分からなくなるくらいなの。雷斗は、モテるから私より綺麗な女性とこれから先出会うこともあると思うし......だから不安で」

本当にそう思う。今、私と結婚して私より綺麗な女性に出会って後悔したら?

「バカ美結雨。俺はこう見えても一途だし、美結雨以外眼中にないから安心して」

チュッ。軽いキスをされてまたドキッとしてしまう。

「私、雷斗と幸せになりたい」

今度は私からキスをした。

「美結雨、そんなに煽ったらもう止められない」

「雷斗っ、あっ......」

「美結雨が悪いっ。思う存分、美結雨を味わうから」

雷斗があまりにもセクシーで私の胸は高鳴るばかりだ。

「いいよっ。私も雷斗を味わうから」

お互い目が合い、笑い合った。

私の夢は叶った。
いつか白馬の王子様が迎えに来てくれる。
そう信じて待っていてよかった。

最高に素敵な王子様をプレゼントしてくれた神様に感謝している。

ありがとう。


End.



いつも、私の作品を読んでいただきありがとうございます。

今回の作品も無事、完結することができました。でもこの作品は途中、煮詰まってしまい、先がなかなか書けず、このままやめてしまおうかと思いましたが、諦めなくてよかったです。

皆さんは、美結雨のように将来、白馬の王子様が迎えに来てくれると思ったはありますか?毎日いろんなことがあり、そういう夢を見なくなってしまうことがありますよね?でも夢はやっぱりもつ方が楽しいと私は思います。

また、皆さんが楽しんで頂ける作品をこれからも書いていきますのでよろしくお願いします。

2021.6.21

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