『心配で来ちゃったわよ。もうお父様ったら
酷いわよねぇ~。あれでは、龍心ちゃんが悪いと
言っているみたいじゃない。
龍心ちゃんが幽霊に優しいのって
そんなにいけない事かしら?幽霊だって人間よ?
ただ成仏させればいいっていう問題ではないわ。
心残りを一緒に考え理解してくれる人が居てくれるから
本当の意味で成仏が出来るんじゃない。
そう考えれば、龍心ちゃんほど
住職に向いている人なんていないわよ!』

鈴木さんは、怒りながらも
俺に対してそう言ってくれた。
その言葉は、素直に嬉しかった。
彼のお陰でマイナス思考にならずに済んだ。
ありがたい。お礼を言うと
それほどでも~と腰をくねくねさせていた。

鈴木さんは、幽霊歴が長い分俺の事を
よく理解してくれる。
そしていいアドバイスをしてくれる。助かる。

そして食事を済ませるとお風呂と歯磨きを
軽く済ませて寝室に入った。
ゆいかちゃんは、不安そうに布団の近くにいた。

ゆいかちゃんも一緒に寝よう。
こっちにおいで
隣に寝るように誘ってみる。

『で、でも私眠くならないもん』

悲しそうな表情で言ってきた。
眠くならなくてもぽつんと起きているゆいかちゃん。
それが、姉を困らす原因になっていた。

そうだ。なら俺が眠くなるように
魔法をかけてあげよう。だから、おいで
ニコッと微笑みながらもう一度誘った。

『魔法……?お兄ちゃんが?』

ゆいかちゃんは、興味を持って隣に
入ってくれる。
俺は、ポンポンと布団の上から
背中をリズムよく叩いた。

いいかい?こうやって安心が出来る人と
一緒に寝てもらう。
それだけでも安心感が生まれ眠くなるよ。
だから眠れるまで俺がそばに居るから
そう言って背中を叩いた。

しばらくしてウトウトしてきたゆいかちゃんは、
『お兄ちゃん。お姉ちゃんと
仲直り……出来るかな?』と尋ねてきた。

あぁ、お姉ちゃんと必ず仲直り出来るよ。
仏は、嘘をつかない。
信じているのなら必ず手を伸ばしてくれるはずだ!
だから安心しておやすみ。

そう言うとゆいかちゃんのまぶたは、
ゆっくり閉じていく。
俺は、それを見ながら背中を叩いていた。
ちゃんと寝れるまで