『あら。怖がらなくても大丈夫よ~同じ幽霊同士。
仲良くしましょう』

鈴木さんは、ニコニコしながら話しかけてくれたが
ゆいかちゃんは、戸惑った表情をしていた。
まぁ、キャラが濃いからね。
戸惑ってしまうだろうね。
そうしたら弟子が障子越しから呼びに来てくれた。

「龍心様。ご夕食の用意が出来たのですが」

「あぁ、ありがとう。すぐに行く」

遅めだが夕食を頼んでおいた。
夕食を食べるために居間に行くと
怖いせいか、まだ安心が出来る俺にくっついて来る
ゆいかちゃん。

幽霊は、お腹も空かないし眠くならない。
そのため食べている俺の横にちょこんと
座って待っててくれた。このまま待たせるのも
なんだし……。
ゆいかちゃんも食べてみるかい?

『えっ…?でも食べられないよ?』

透けてしまうから物に触る事も出来ない。
大丈夫。お腹が空かないかもしれないけど
こうやってお供え物にすれば口に入れられるよ。

俺は、好きそうな切ったリンゴを手に取ると 
ギュッと潰れない程度に力を入れる。
そしてゆいかちゃんの口に入れてあげた。
するとリンゴは、ゆいかちゃんを
すり抜ける事もなく口の中に入った。

『お、美味しい。
どうやったの?お兄ちゃん』

ゆいかちゃんは、不思議そうに尋ねてきた。
フフッ……霊力を利用したんだよ。
俺の手は、霊に触る事が出来るから。
リンゴに力を送り込んだ。だから
触れられるようになって食べれるようになったんだ。

『凄ーい!!お兄ちゃんの手は、
魔法の手みたい』

ゆいかちゃんは、感心したように言った。
魔法の……手?
俺は、その言葉に驚いた。

この力は、昔から気味悪がられる事は、あったが
こんな風に言われた事が無かった。
小さい子の発想は凄い。
思わない言葉を浮かんでくるから