「結城さん」
そう呼ぶと振り返る顔も、
「すごい似合ってますよ。」
そう言うと耳まで真っ赤になる仕草も
「……………独占したい。」
この手の中におさめておきたい。
けれどこの人は……掴んでも掴んでもどこかへヒラリと飛んでいく。
「はい、次近くによってみて〜!」
───そんな気がする。
「ち、近すぎじゃないか…?」
「そんなことないですよ、こんなもんです。」
いつもはもうちょっと離れてるけど。
気を使ってくれた春瀬さんの言葉に甘えて結城さんに近づくと、香水なのかシャンプーなのかいい匂いがした。
逞真side end