「誰かにそんなこと言われたの?………──そんなこと言う輩がいんなら俺がぶん殴るから。」
豹変、という言葉がぴったりだ。
オネエ口調は消えて、低い声で春瀬さんは話している。
「いや……ただ、俺が思ってるだけ…っ」
「…じゃあ逞真くん、今雅くんのこと忘れろって言われたら忘れられる?」
胸ぐらを掴む乱暴な行動とは真逆に言葉遣いは優しくなった。
目は決して笑っていないけど。
「忘れられません。」
春瀬さんの目を見てはっきり伝えると、胸ぐらを掴む手は離された。
「よーし!その意気だ!出会って一日?そんなの気にしてちゃ恋なんか出来ないっての!」
恋…か。
今まで付き合った人数はそこそこ居たけど、心の底から好きだなんて思ったことなかった。
自分でも最低だと感じるけど。