「……逞真?仕事の時間とっくに過ぎてるんじゃ…」

「いいんです。」


「そっか……ってよくないわ!仕事は仕事!」


ずっと抱きついている逞真を離すと、まるで捨てられた子犬のような顔をした。




「……もうどこにも行かないから。行っておいで?」

1度離れた心は相当疑り深くなっている。
だからこそ、1度俺を試せばいい。



「…わかりました。」


サラリと離れた指。
少し寂しいだなんて思うけど、今は言わない。





「頑張れ。」


そう言うと逞真は立ち止まって、少し早歩きで病室を出ていった。