「…先生、結城さんは大丈夫ですか?目は…覚めますか?」
少し前のめりになったと思う。
先生の顔が曇るのを見逃さなかった。
「精神的ストレスは本人が思っている以上に受けるものだからね。…後は本人次第なんだよ、ハッキリ出来なくて申し訳ないけれど。」
心底苦しそうに告げた先生。
…結城さん次第。
不安で押し潰されそうな気持ちを抑えて、眠っている結城さんの手に触れる。
「…ありがとうございます。」
一言お礼を言いうと結城さんは運ばれていった。
今日はもう帰るしかない。
榎本さんに連絡をして、夜の病院を出た。
「……寒。」
一人歩く冬空の下は、いつもより寒く感じた。