「うち小さい頃からお父さんいないでしょ?だから今、私がお母さん支えてるの。ここまで女手一つで育ててくれた恩返しのつもり!」
どこまでも真っ直ぐで素直で、変わらない。
「…俺に出来ることがあったら、言って?」
そう言うと紗奈はニヤリと悪い顔で笑った。
「へぇ〜、じゃあ何してもらおっかなー!…あ、そうだ!買い物のお手伝いお願いしちゃお!いっつも荷物が重いの!」
…そんなことかと呆れて笑うと肩をべしべし叩かれた。
スーパーまでの道は昔の話をしたり、今の話をしたりで…笑顔が絶えなかった。
───その時だけは結城さんを忘れていた。
逞真side end