「…楓華、今夜うち来ない?」


一人暮らしの彼と私。
比較的自由な身だったし、断る理由はなかった。




「お邪魔します。」

男の割には綺麗な部屋で驚いた。
うちの父は整理整頓が下手な人だから。



「楓華……」

部屋に入るなり柊はキスを落とす。

静かな部屋にリップ音が響き、我に返る。




「柊…?」

背中に回された手は服の中に入ってきて、ブラのホックに届いた。


「柊、なにを…」

「……楓華、ヤろ?」


耳元で囁かれる甘い声。
…でも私はそんなものには惑わされない。



「…帰る。」
「待って。」


踵を返す私の手を掴み、柊は私をベッドに押し倒した。


……嫌だ。
こんな柊は、嫌だ。





「う…っ!クソ、逃がすかよ…!」



鳩尾に一発入れると流石にすぐには立ち上がれないようで、その隙に部屋を出た。


…柊はどこかに電話をかけていたけれど。