「…ふぅ。」


時計の針は23時を指している。

今日は機械トラブルが2件、その他にも色々あってこんな時間になってしまった。



「お疲れ様です、社長。」

「榎本…まだ残ってたのか?」


榎本 楓華

才色兼備で気が利く自慢の秘書……だが、厳しい。すごく。




「…そのお疲れの様子で運転をさせるわけにはいきません。」


確かに今日は疲れたけど、顔に出しているつもりはなかった……本当に人をよく見ている。



「じゃあ、お言葉に甘えようかな。」


そう言うとニコッと笑い、榎本は髪を下ろした。