あーほら、見つけちゃった。


すぐそこの踊り場に、藍田さんとナギのツーショット。


触れた記憶もあんまりない柔らかそうな長い髪が、女の子らしい動きに合わせてふわっと揺れている。



……たのしそ。


俺がこの二人に何をしろっていうの。


一歩、足を進めるとドクンと心臓が鳴って、藍田さんのほうを見るのが怖くなる。


もうこれビョーキだと思う。


そばに行こうと思うだけで、全力疾走でもしたのかってくらい心臓が速まっていくんだから。


「ナギちゃんの好きな子は、ナギちゃんに冷たい態度とったりする?」


「しないなぁ。愛想いい、愛嬌溢れてる子だから」


「そっかぁ……。いいなぁ。あたしは好きな人に嫌われてばっかり」


「俺もその子にとって友達だから嫌われてないだけだと思うし、似たようなもんだよ」


「そっかぁ。ナギちゃん告白しないの?」


「しないしない。今のままで十分楽しいしー、なんだかんだその子と俺一番仲良いと思うから」



盗み聞きなんて趣味悪いと思うよ?
思うけどさ。


ナギ、なに本人相手に恋愛相談してんの?


もうそれ、ほとんど告白じゃん。


つーか、なんで藍田さんそれに気づかないんだよ。


鈍感という言葉じゃ足りなくて怖いわ……。