カウントダウンは相変わらず続いていて、止まる気配がない。


あたしはもう1度、ゲームのリセットボタンを押した。


しかし、何度やってみても事態は変化しない。


徐々に包帯男がこちらを見てあざ笑っているように感じられてきて、あたしは画面から視線を離した。


その時だった。


「これ、使えるんじゃないか?」


そんなカズヤの声が聞こえてきて、ホナミが大きく息を飲んだ。


カズヤが手に持っていたのは金槌とノミだったのだ。


芸術コースの生徒たちが使うそれは、あたしたちとは無縁の道具だ。


「嫌だ! やめて!」


咄嗟にホナミが立ち上がり、ドアへと走った。


しかし、そこもドアは頑丈に締め切られてしまっている。


男子たちの力で破壊することもできなかったのだから、ホナミの力でどうこうなるはずがなかった。