なにが起こったのか、全く理解できなかった。


真っ赤に染まった壁と床に言葉が出なくなる。


そこには確かにミホがいたはずなのに、ミホの姿はどこにもなかった。


代わりに、床には肉片のようなものがあちこちに散らばっり、あたしの腕や髪にもそれらがベッタリと張り付いていたのだ。


「イヤアアアア!!」


ホナミの悲鳴でようやく我に返った。


「キャアアア!」


悲鳴を上げ、その場から飛びのく。


体についた赤い血はまだ暖かく、まるで頭から毛布をかけられているような感覚だった。


「嘘だろ……」


呆然と立ち尽くすカズヤの頬にも、血が飛び散っていた。


「ミホが……ミホが!!」


あたしは叫び声を上げ、体についた肉片を必死で取り除いていく。


これがミホの体のどの部分だったのかわからないくらい、破損は激しかった。


「誰か!! 誰か助けてくれ!!」


イツキとイクヤの2人が小窓へ近づき、声を張り上げる。