「近くてよかったね」


ミホへ向けてこっそり耳打ちをする。


ミホはふふっと小さく笑った。


「ここがゲーム研究会か」


カズヤはそう呟き、ノックもせずにドアを開けた。


あたしたちは慌ててカズヤの後を追い掛けたが、教室内に部員の姿は見られなかった。


ゲーム研究会のドアの向こうには長机がズラリと並べられ、様々なゲーム機械と沢山のモニターが置かれていた。


壁沿いに置かれた木製の棚には沢山のゲームソフトに、ボードゲームやトランプ、縄跳びまである。


ゲームの種類に目を白黒させていると、教室後方にあるドアから1人の男性教員が出て来た。


ひょろりと背が高く、茶色いスーツに黒縁メガネをかけた先生は両手いっぱいにゲームソフトを抱えている。


「やぁ、君たちは?」


「1年生です。ゲーム研究会の見学に来ました」


あたしはスッと背筋を伸ばしてそう答えた。