『今までにない、誰もが認めるようなホラーゲームを作ろう』


『そのためには時間が必要だ』


『家に帰るのも、ご飯を食べる時間も勿体ない』


それは、元気だったころの彼らの会話の一部だった。


『雨が降っても、雪が降っても、絶対にゲームを完成させる……』


そんな熱心な話声から一変し、今度は何者かわからないヒソヒソ声が聞こえて来た。


『この会社よ。ホラーゲームばかり作っている会社は』


『子供の教育にも悪いし、もっと別の場所に会社を建てればいいのに』


『どうせ毎日残酷なことばかり考えているのよ』


『怖いわよねぇ。本当に事件でも起こしそうで夜も眠れないわ』


根も葉もないただの噂。


だけど悪い噂はあっという間に広がって行くものだった。


『あのゲーム会社、夜中に窓ガラスが割られていたんですって』


『陰湿なゲームばかり作っているから、そんなことになるのよ』


その危害の原因が、自分たちにあったなんて考えもせずに軽口を叩く。


『みんな頑張ってくれ! もう少しで次のゲームが完成する。これは必ず大ヒットして、会社の運命を大きく変えるだろう……!』