「あれっ、お客さん?」

乱れた髪を直しながら顔を上げた時、私に気づいたらしい女子の先輩

うん、綺麗

可愛いというか美人。大人っぽい

「そ、そーです・・・・・・ゔゔ」

ばたんきゅー状態の生徒───確か碧さん

蹴り飛ばされた顔を赤くはらしながら悶えている

・・・・・・こう言っちゃ悪いけど、情けない

「そっかー、ごめんね。びっくりしたでしょ?」

「まあしましたけど・・・・・・そこまでは」

「なんていい子っ!」

途端、ぎゅうっと抱きつかれる

フローラルのいい香りに包まれた

私の頬あたりに柔らかいものが当たる

スタイル抜群ですね、先輩

「ねぇ、この子誰よっ?」

「えーと・・・・・・誰だっけ」

「ちょ、知らないで連れてきたの?ばっかじゃないの?!」

「いや、そんな事言われても」

ぎゃーぎゃーと、今まで静かだった廊下か一変して騒がしくなる

まるで私の教室みたい

くすっと笑い、すぐに無表情に戻る

「小鳥遊芽衣です。高校一年生になります。よろしくお願いします」

ぺこりと礼をすると、口論に発展しそうになっていた2人がこちらを向いた

抱きつかれている状態だから、女子の先輩は私を眼前に見ていて、何となく気配で、起き上がりながらこちらを見ているらしい男子生徒

・・・・・・そんなに驚くことか

「ああ、もうっ。なんていい子っ!この子私の妹にしたい!」

「どうぞご勝手に・・・・・・」

さらに強く抱きつかれる

後ろからは呆れた声色の声が聞こえた

ここまで人と、馴れ合ったのは初めて

特別コミュ障というわけではないけれど、人と話すことは滅多にないから

・・・・・・昔、魔法協会にいた時も、「一匹狼」って呼ばれてくらいだし