「・・・この様子だと、まだまだ来る様子がありませんね。どうです、暇潰しに僕の話でも聞いてくれませんか。」
本当に暇潰しですね、と言おうと思ったが、うまく心に止める。


奴は自分の出生から話し始めた。あまりいい環境で生まれたわけではなく、生まれた時すでに病気に掛かっていたらしい。最近それが治りました、と笑っていた。
何だか暗い話になりそうなそれに、僕はああ、そうですか、大変でしたね、と相槌を打つだけにして、あまり話を広げないようにした。日も落ち始め、暗い話など聞かされたら・・・バスを待っている苛立ちに足されて、気が滅入ってしまいそうだからだ。
暇潰しと言っていたが、暇潰しにもなりそうもない。僕は本当に後悔した・・・。
しかし奴は喋るのを止めなかった。それどころか、僕の顔色を見ては楽しんでいるように見える。僕にもそれが解るから、益々不快になってくる。
早くバスが来ないだろうか・・・。
病気の話の次は、その病気に何故かかった理由まで言い始めた。親からの遺伝で、その親はまた自分の親から遺伝したという。どうも子へと遺伝してゆく病気で、難しいものらしい。