「ん。…あんまり溜め込むなよ?
ハゲるから。」
「大丈夫だよ。
私、毛量多いから。」
「あー…お前、小さい時こけしみたいな髪型してたもんな。」
「可愛いじゃん、こけし。」
「はいはい、そうだな。」
大丈夫。笑えてる。
どんなに辛くても、そばに居てくれる人がいる。
何があっても、柊吾への思いを貫き通してみせる。
この日、柊吾に連れられた桃奈さんが、男子バスケ部にやって来た。
可愛いと部員たちにもてはやされる彼女は、傍らでその様子を見ていた私に不敵な笑みを浮かべた。
私は、そんな彼女にニッコリと微笑み返した。
…大丈夫。がんばろう。
桜河との会話を思い出し、一人気合を入れる。
この彼女の入部が、まだまだ序の口だったなんて…
彼女がここに来たことで、まさかあんな事になるなんて…
この時の私には知る由もなかった。
───────続く