頭を撫でるわけでも、涙を拭うわけでもなく、背を向けてただ私の目の前に立ちはだかる桜河。


まるで、泣きそうになる私を周りの人から隠すように。






さっき、桃奈さんや柊吾と一緒にいる時もそうだった。


桜河のこの不器用な優しさに、私は何度も救われてる。







大丈夫。

これから嫌なこともたくさんあるだろうけど、私ならきっと大丈夫。





私には、強い味方がいる。

桜河も…咲花も葵斗も味方でいてくれる。








「桜河。

私、がんばるね。」








弱気な自分に言い聞かせるように、桜河の背中にそう宣言した。