しばらく走って、私たちは渡り廊下の途中で足を止める。
そして、私の腕を力強く掴んでいた桜河の手は、そっと離れていった。
「…ありがとう、桜河。」
私は、桜河の後ろ姿にお礼を言う。
すると桜河はゆっくりとこちらを振り返って、大きくため息をついた。
「お前…何いい子ぶってんだよ?
嫌なら嫌だってはっきり言え。」
私の頬をぎゅっと抓る桜河。
えー…
慰めてくれるのかと思ってたら、怒られるんかい。
「仕方ないじゃん。
…私が、桃奈さんと会ってもいいよって柊吾に言っちゃったんだから…」
「は?アホか!?
何でそんなこと言ったんだよ?」
桜河がさらに強く私の頬を引っ張るから、私の頬はどんどん熱を帯びていく。