「ありがとうございます。
…香純センパイ。」
そう言ってニコリと笑う桃奈さんに、私は笑い返すことしか出来なかった。
「ありがとう、香純。
…まだ早いけど、体育館に行こうか。」
「うん。…緊張するな。
あ、お二人も一緒に行きましょうよ。」
当たり前のように並んで歩き出す柊吾と桃奈さん。
なんで…柊吾がお礼を言うの?
彼女である私がここにいるのに、なんで当然のように桃奈さんに隣を歩かせるの?
私は、そんな醜い感情たちが口から出てしまわないように、唇をぎゅっと噛んだ。
そして、私の隣にいた桜河は、そんな私の腕を掴む。