私はそれ以上何も言えなくて、ただその場で黙り込む。
私たちの間には再び気まずい沈黙が流れる。
それを破ったのは、私でも、柊吾でも桜河でもなく…
「柊く〜ん、お待たせ。」
彼の名前を呼ぶ甘ったるい声。
「…用事はもう済んだ?」
「うん。部活に行こう!」
仲良さげに話す二人から、私は目を逸らした。
「香純、桃奈がバスケ部に入りたいらしいんだけど……いい?」
〝いいか?〟だなんて、ずるい聞き方。
そんなの、ダメだなんて言えるわけない。
「もう、なんで私にそんなこと聞くの?
私じゃなくて顧問に聞きなよ。」
私はそう言って、無理やり笑った。