「…親と色々あったらしくて、頼れる親戚もいないから俺の家が一旦引き取ることになった。」
柊吾の家が…?
「は?…一緒に住むってことか?」
私の隣にいた桜河が、私の気持ちを代弁するように尋ねる。
「いや、桃奈はうちの旅館の離れで暮らす。
旅館なら常に誰かがいるし、一人暮らしをさせるよりは安心だから…。」
柊吾とひとつ屋根の下で暮す訳ではないのは安心だけど…
でも、私たちが産まれ育った町に、これから桃奈さんも住む。
部活の時間も、登校する時間も…
常に彼女がいる生活に、私は早くも怖気付いていた。
「そっか…」